八ヶ岳南北縦走(あるクライアントのお話し)

先日、八ヶ岳を編笠山からスタートしキレットを越えて縦走し北横岳までの4泊5日の個人ガイドに行ってきました。

これは2023年の秋だったか「私の夢である八ヶ岳縦走に60代最後の年である来年に行きたいのだけれど、それに向けたトレーニングを含むガイドをお願いできませんか?」という依頼をいただきスタートした企画で、クライアントとはご依頼をいただくまでに数回の低山登山を共にしたのですが、そもそもの登山経験の浅さ、何より体力不足から難しいかな…という思いもありました。

しかしクライアントの「これを実現したいんだ!」という強い意志を感じ、こちらが作成したトレーニングメニューをしっかりこなしていただくことを前提にご依頼を引き受け、2023年12月から8カ月間、毎月多くの山を共に登り登山技術習得と体力向上を目指してやってきました。

体力アップのために易しい冬山歩きも取り入れ、標高差のある山登り、苦手な岩場、高度感に慣れるために少しスリルのある山歩き、歩行速度向上を目的とした山登りや、縦走では必須となる数日間の山小屋泊りに対する対策など多岐にわたるトレーニングを行ってきました。他にもご自宅でできる簡単なトレーニングを日々行ってもらい本番当日を迎えることになりました。

この話しの前に八ヶ岳とは「8つの山から成り立っている」と思っている方もいるかもしれませんが8つの山があるだけではなく、より多くの山で形成されています。

主だった山は・・・

【南八ヶ岳】
編笠山 (2,524 m)
西岳 (2,398 m)
三ッ頭 (2,580 m)
権現岳 (2,715 m)
赤岳 (2,899 m) 最高峰
中岳 (2,700 m)
阿弥陀岳 (2,805 m)
横岳 (2,829 m)
硫黄岳 (2,760 m)
赤岩の頭 (2,656 m)
峰の松目 (2,567 m)

【北八ヶ岳】
箕冠山 (2,590 m)
根石岳 (2,603 m)
天狗岳 (2,646 m)
中山 (2,496 m)
丸山 (2,330 m)
茶臼山 (2,384 m)
縞枯山 (2,403 m)
北横岳(横岳) (2,480 m)
大岳 (2,381 m)
双子山 (2,224 m)
蓼科山 (2,530 m)
などなどを含んだ南北約25キロの山々です。

「八ヶ岳全山縦走」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、全山といっても一般的には全山ではなく編笠山をスタートまたはゴールとして蓼科山をゴールまたはスタートするものを指していることがほとんどです。

この「八ヶ岳全山縦走」人によって速さはまちまちです。
1日かけずに終わらせる方、1泊で終える方、2泊3日や3泊4日(このあたりが多い)、4泊や5泊でゆっくりと回られる方もいます。
八ヶ岳は山小屋も多くあるため、体力に合わせて様々な組み合わせが可能です。

さて、本題のクライアントの登山記録ですが
今回は体力的なこと、本人が山でゆっくり過ごしたいという希望から5泊6日で編笠山をスタートして蓼科山で下山する計画としました。

初日は観音平からスタートし青年小屋へ宿泊、順調にこなしています。

この南側から北側へ抜けるときにもっとも大変なのが2日目の権現岳~赤岳を越えるキレット越えです。色々トレーニングしてきましたがクライアントにとっては憧れの山、権現へ向かう岩場あたりから心配な表情と共に動きがぎごちなく・・・安全のためにロープを結び確保をしながら進みます。

キレット名物?「源治梯子」を越え赤岳が迫るころにはどんどん険しさを増していきます。
さすがにガレ場や岩場は怖かったようですが気持ちを振るい立たせて頑張っていました。
「これくらい何てことないよ~」という方もたくさんいるでしょう。でもクライアントはご自身の状態をよく理解されており「私は年齢的にも能力的にも、そして家族に心配をかけないためにもガイドさんと行くべきなんだ」とマンツーマンガイドを選択されたことは間違いではないと僕は思います。
もちろん費用も嵩んではしまいますが何かあってからでは遅いですから。

1日の工程を短くしているためこの日は赤岳展望荘まで。
その晩は風が強く山慣れしていないクライアントには不安な夜だったようですが翌朝天気は回復傾向。
3日目に次なる核心部である横岳を通過し硫黄岳を越え今日の宿である根石岳山荘へ。

2日目、3日目の難所歩きの緊張状態からの解放からかどっと疲れが出たようで4日目は速度が上がらず、もちろん足も上がらずでしたが予定通りの行程をこなし宿へ・・・
5日目、二人で相談し、疲労が激しいことから何度か登ったことのある蓼科山を省略して北横岳まで登り下山することに。


5日目、小屋でゆっくりしたことや最終日であることから最後の山頂である北横岳では笑顔も。

この5日間を通して大きく天気が崩れることもなく多くの人との出会いもあり良い登山になりました。

登山を長年やられている同世代の方ならともかく、今回のクライアントが5日間、縦走で八ヶ岳を歩き通したことは立派なことだと思います。

この8カ月間よく頑張ってこられました。
この計画の間にもいろいろな事が起きました。
ご家族の協力もありました。
皆さんの思いをのせて歩ききりました。
本当にお疲れさまでした。

そしてクライアントからは登り終わったあとに新しい目標もどんどん出てきていましたが
これからも楽しく安全な登山を続けてください。

FuruhataMountainOfficeではこのような長期間にわたるトレーニングを含めた計画及びガイドをお手伝いさせていただきます。
単独でも、お友達と数名のグループでの参加でも可能です。
もちろん今回ケース同様の八ヶ岳縦走を希望される方もご相談ください。
詳しことは直接お問合せください。


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