視覚に障害をお持ちのお客様…

先日、浅間山(前掛山)を目の見えないご夫婦を案内いたしました。
目が見えなくとも、とても山が好きなクライアントです。
ご夫婦で日本百名山をひとつずつ楽しまれています。
目が見える(晴眼者)クライアントで山が好きな方と何一つ変わることはありません。
とはいえ、見えないハンデは時には危険なこともあります。

視覚障碍をお持ちで山に登りたい方の多くは、視覚障碍者、サポートをしてくれる晴眼者からなる山の会に入られていて、晴眼者にサポートをしてもらい登山をされる方が多いと聞きました。
とはいえサポートをしてくれる方の人員不足による問題、サポートをしてくれる方は必ずしもプロではないための不安などもあるでしょう。
そんな中でのご依頼でした。

そのご夫婦より以前、

「視覚障碍者は晴眼者のように山を楽しむことはできないのかな…」

と、つぶやかれたことがありました。

そんなことは無いと思います。ただし、それは安全を確保することが大切だと思います。そのためのガイドです。

とお答えしました。

プライベートガイド山行であれば、視覚に障碍があってもガイドすることは可能です。
状況(視力の程度、登山道の状況)によってはガイド1人に対して視覚障碍者2名なども可能でしょう。当然、ガイド1人対して視覚障碍者1名にしなくてはいけないこともあるでしょう。
一般的にご依頼いただくクライミングなどを伴わない、いわゆる普通の登山は私が取得している【登山ガイドステージⅡ】という資格で対応可能ですが、視覚障碍者の方をガイドするには、相当なロープワークを必要とします。そのため、いわゆる「登山ガイド」では対応できないプロもいるかもしれません。それゆえガイドに依頼されても断られてしまうケースもあるかもしれません。
また、ご自身の中で、ガイドを依頼することに抵抗がある方もいるのかもしれません。しかし、晴眼者であっても安全を確保するためにガイドを依頼していただくことは普通にあります。

また、金銭的な不安もあるかもしれません。とあるサイトで「視覚障碍者がガイドを依頼すると通常以上の非常に高額な費用がかかる」という記事をみかけました。

私は、状況(視力の程度、登山道の状況、視覚障碍者の人数)にもよりますが、基本的には晴眼者と同じ価格設定でガイドを引き受けることも可能です。

ただし、初めてのご依頼でクライアントの状況がわからないなか、いきなり難易度が高い山をご依頼いただいてもお断りします。まずは一度、状況確認のためやさしい山への依頼をしていただくことになりますが・・・

「視覚障碍者は山を楽しむことはできない」
そんなことは決してありません。

そんなお悩みを抱えている方、一度ご相談ください。

登山ガイド