感謝状


今年7月2日に飯豊山でガイド中に単独登山者男性の遭難事故に遭遇し切合小屋の方と共に救助活動を行ったことで福島県喜多方地方広域市町村圏組合消防長より感謝状をいただきました。

救助活動自体は山に関わる仕事をしている身としては「できることをする」ということは当然だと思っていますし、救助活動はこれが初めてではないのですが今回は感謝状をいただくこととなりました。
この事で飯豊山域の事故が少しでも減ることに繋がれば幸いです。

何より遭難された方が無事であったことが一番良かったことだと思っております。

今回の事故、概略は以下に記載します。

僕は目の不自由なクライアント1名(男性)をガイド補佐1名と共に3名で御沢登山口から切合小屋泊、翌日に飯豊山登頂後、切合小屋泊し下山という計画で、遭難は初日、僕たちが切合小屋へ到着後に発生しました。
僕たちは朝6時頃に登山を開始し朝8時頃、上十五里で遭難者の男性を追い越し2.3言葉を交わしたのですが、既に疲労が見られました。
当日は雨…
我々が小屋に到着したのは13時45分、遭難者も切合小屋泊予定でしたが三国小屋を12時30分頃に通過目撃後15時を過ぎても到着せず(一般的な速度であれば三国小屋から切合小屋まで2時間程度)小屋の方から遭難者へ電話連絡したところ繋がり「雪渓が渡れず三国小屋へ引き返す」とのこと。その後再度連絡した時には「滑落してけがをして動けない」とのことで小屋の方2名が遭難者がいると思われる場所へ向けて出発、僕もその後救助に必要な道具と身支度をして出発、合流、怪我をし血を流され寒さで震える遭難者を救助、岩場から引きあげロープ確保し支えながら小屋へ搬送しました。

この方は、たまたま電波が入る携帯を持っていたことで連絡が繋がりましたが、もし繋がらず冷たい雨の中、一晩中寒い岩場でうずくまっていることになっていたらと思うとぞっとします。
何より怪我も大事にならず、命にもかかわることがなく救助できたことは幸いです。

男性は単独の70代前半、聞けば飯豊山が最後の百名山だとのこと。
しかし、合流したときにはザックの中身はビショビジョで着替えは使用できる状態ではなく、その他の装備も計画に見合う持ち物ではありませんでした。

僕は常々一般的な山登りであれば「山岳遭難はたまにしか起きない」と思っています。でも、その影にかくれた多くの「なんとかなったから大丈夫」というだけの遭難予備軍が大量にいて、その中からなんともならなかった人が【遭難事故】を起こしているのだと。
※遭難=命に係わる危険な目にあう
なんとかならなかった場合、それは遭難事故になってしまいます。

よくある「なんとかなった!よかった~」は…
・ちょっと転んだけどなんとか大丈夫だった。
・少し道に迷ったけどなんとか大丈夫だった。
・大幅に時間がかかってすごく疲労しているけどなんとか目的地に到着した。
・雨でびしょ濡れで寒かったけどなんとか小屋に到着した。
・年齢による衰えは感じたけれど今回もなんとか登れた。
などなど

どれもこれも体がとても強く、バランス感覚に優れ、様々な環境変化に敏感に対応できる方であれば問題ないかもしれませんが、皆さんは目的の山へ行くための体力は十分にありますか?それに向けてしっかりとしたトレーニングはされていますか?

過去の体力を今も同じ体力を有していると思っていませんか?

僕も含め明日は我が身ですよ。

自然(山)は都市部の生活とは異なり高齢者や障害がある方に特別やさしくはしてくれません。赤ちゃんにも強靭な若者、中年、高齢者に対してもいつでも平等です。
美しく快適な環境を平等に提供してくれときもあれば、豹変してとても厳しい環境を平等与えることもあります。
年齢と共に体力、装備、知識を少しでも高める努力をしなくてはいけないのではないでしょうか?

山登りは所詮遊びです。
好きに遊べばいいと思います
でも
遊びなのですから遭難騒ぎを起こして人様に迷惑をかけることなく可能な限り自分で完結できるよう遊びましょう。


今一度ご自身の体力(能力)に見合った登山計画かどうかを検討していただき悲しい遭難事故がおきることがないよう登山を楽しみましょう。

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